T&Bear TIMES

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『インクレディブル・ファミリー』トリビア&イースターエッグ

※本記事には、『インクレディブル・ファミリー』のネタバレが含まれます。

 


全米では6月15日に公開され、アニメーション映画史上No.1のオープニング成績を叩き出したピクサーアニメーションスタジオ最新作『インクレディブル・ファミリー』。記念すべきピクサー作品第20作目であり、2004年に公開された『Mr.インクレディブル』の待望の続編。当初は2019年に公開予定でしたが、今年公開予定だった『トイ・ストーリー4』と順番を入れ替えての公開となりました。

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約14年ぶりに“インクレディブル・ファミリー”のその後が描かれる今作。前作の伏線回収や、トリビアイースターエッグなどを紹介したいと思います!

 

約14年ぶりの続編

 

前作『Mr.インクレディブル』(04)以来約14年ぶりの続編となった『インクレディブル・ファミリー』。14年の年月が経ちましたが、今作は前作の直後から始まるストーリーです。前作で突如として現れた敵アンダーマイナーとの戦闘から物語は始まります。そしてオリジナル版も吹替版もほとんど前作と同じ声優が続投しています。Mr.インクレディブル=ボブ・パー(英語版:クレイグ・T・ネルソン、日本語版:三浦友和)、イラスティガール=ヘレン・パー(英語版:ホーリー・ハンター、日本語版:黒木瞳)、ヴァイオレット・パー(英語版:サラ・ヴォーウェル、日本語版:綾瀬はるか)、フロゾン=ルシアス・ベスト(英語版:サミュエル・L・ジャクソン、日本語版:斎藤志郎)など時の流れを感じさせない見事な演技を披露してくれています!そしてダッシュ・パー役の声優は英語版:スペンサー・フォックス→ハック・ミルナー、日本語版:海鋒拓也→山崎智史と交代していますが、違和感はありません!

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イラスティガール

 

本シリーズの世界ではヒーロー活動は違法であり、スーパーパワーを持つヒーロー達は自分の正体と能力を隠して生きています。前作ではボブ・パー=Mr.インクレディブルがこっそりヒーロー活動を行い、シンドロームに騙されてしまうのですが、今作ではヘレン・パー=イラスティガールがヒーローとして活動する事になります。アンダーマイナーと戦うヒーロー達の姿を見ていたウィンストン・ディーヴァーは、ヒーロー活動を合法に戻そうとする大のスーパーヒーローファンの実業家です。彼らの活躍を見ていたウィンストンはMr.インクレディブル、イラスティガール、フロゾンを大手通信事業会社デヴテックに招集して、ヒーロー活動を合法に戻す計画について話します。そんなウィンストンとその妹イヴリン・ディーヴァーの協力のもと、イラスティガールはヒーロー活動に専念する事になります。イラスティガールは新たなスーツに身を包み、イラスティサイクルで任務に挑みます。

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インクレディブル主夫

 

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ウィンストンから計画を聞いた際、自分がヒーロー活動をすると乗り気だったMr.インクレディブルでしたが、能力的に損害を出しにくく完璧なスタートを切れるのはイラスティガールだと言われてしまいます。怪力のMr.インクレディブルはヒーロー活動に伴って街を破壊してしまうので、しぶしぶ主夫となることに。前作でシンドロームの手により家を失ってしまったインクレディブル・ファミリーは、ウィンストン・ディーヴァーから豪邸を提供されます。そんな豪邸でボブは娘のヴァイオレット、息子のダッシュ、そして赤ちゃんのジャック・ジャックの世話を1人で引き受けることに。不器用なボブは家事・育児を上手くこなすことが出来ません。ボブは順調に活躍するヘレンの姿を見てストレスを溜め込んでいきます。

 

スクリーンスレイヴァー

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前作のヴィランシンドロームに変わって今回インクレディブル・ファミリーに立ちはだかるのは正体不明のスクリーンスレイヴァー。スクリーンスレイヴァーはありとあらゆる画面に姿を現し、画面上に錯視を映す事で、画面を見ていた人を洗脳してしまう強力なヴィランです。Screen=画面、Slaver=奴隷商人と言う意味です。スクリーンを通して、物事を実際に経験せず経験した気になっている人間達。自分では何も行動せずにスーパーヒーロー達が自分達を守ってくれると思い込んでいる人間達に疑問符を投げかけるのがスクリーンスレイヴァーです。

 


この謎めいたヴィランの正体はヒーロー活動を合法に戻そうとしているウィンストンの妹イヴリン・ディーヴァーでした。イヴリンの父も兄ウィンストンと同じくヒーローファンであり、ヒーローが自分を守ってくれると思い込んでいた人間の1人でした。イヴリンの父は自宅にスーパーヒーロー直通の電話を持っていました。(直通電話はゲイザービームとファイロニックに繋がるものでしたが、彼らはシンドロームのオムニドロイドによって殺害されています。)しかし自宅に強盗が侵入した時はちょうどヒーロー活動が違法になった時期で、イヴリンの父をヒーローが救ってくれることはありませんでした。イヴリンは父親がヒーローに頼らずシェルターに逃げていたら死ぬことはなかった思っており、それが彼女がスクリーンスレイヴァーになる大きな要因となりました。イヴリンは天才的な技術者であり、画面を通して人間を洗脳するだけでなく、専用のメガネをかけた人間を操る事も出来ます。

 


イヴリン・ディーヴァーは黒幕としてはピクサー映画史上初の女性です。彼女がスクリーンスレイヴァーの正体である事は早い段階でほのめかされています。まず、イラスティガールがスクリーンスレイヴァーのアジトに侵入するシーンで、大きな目のマークが描かれたHYPNOTISM(催眠術)のポスターが映るのですが、その目のロゴがイヴリンが初登場した歳につけていたイアリングと同じです。イヴリンの声優を務めるのはキャサリン・キーナー。彼女は第90回アカデミー賞脚本賞を受賞した『ゲット・アウト』(17)で、催眠術を使用する心理療法家ミッシー・アーミテージを演じています。キャスティングにもヒントが隠されていたんですね。また、彼女の名前Evelyn DeavorはEvil Endeavor(邪悪な努力)から来たものです。

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最強ベイビージャック・ジャック

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今作『インクレディブル・ファミリー』が前作と大きく違うのは、ジャック・ジャックが家族のヒーロー活動に本格的に参戦する点です。前作ではベビーシッターのカーリとシンドロームだけがジャック・ジャックの能力を目の当たりにしました。(カーリがジャック・ジャックのスーパーパワーを目の当たりにするシーンは短編作品『ジャック・ジャック・アタック!』(05)で見る事が出来ます。)前作『Mr.インクレディブル』でインクレディブル・ファミリーはジャック・ジャックの能力に気づいていませんが、今作でようやくジャック・ジャックが秘めた数多くのスーパーパワーを目の当たりにすることに。強靭な肉体、壁歩き、デーモンベビー化、ファイアーベビー化、擬態、金属化、分子振動、発電、レーザー・アイズ、浮遊、瞬間移動、次元移動、物体のすり抜け、テレキネシス、ロケットくしゃみ、分身など数えきれないほどのスーパーパワーをジャック・ジャックは持っています。今作でテレビを見ていたジャック・ジャックは、画面に映る強盗と窓の外でゴミを漁っているアライグマが同じに見えたために襲いかかります。庭でアライグマと死闘を繰り広げるジャック・ジャックですが、これがきっかけでボブは彼の能力を知る事になります。そして今作で初めてジャック・ジャックはエドナ・モードと出会い、すっかり意気投合します。

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テーマソング


ヒーロー活動が合法だった時代、Mr.インクレディブル達がヒーローとして活躍していた時代。そんな時代を見てきたウィンストン・ディーヴァーは古き良きヒーロー達の大ファンです。初めてMr.インクレディブル達に顔を合わせた時、ウィンストンはMr.インクレディブルのテーマソング、フロゾンのテーマソングを本人達と一緒に口ずさみ、イラスティガールの初任務の際はイラスティ・ガールのテーマを口ずさんでいます。これらのテーマソングはそれぞれ「Pow! Pow! Pow!-Mr.Incredible’s theme」、「Chill or Be Chilled-Frozone’ theme」、「Here Comes Elastigirl-Elastigirl’s theme」としてちゃんとした曲として存在しています。これらはエンドロールで流れるので、最後まで席を立たないでください。

 

新世代ヒーロー


イラスティガールの活躍により、自身の能力をひた隠しにしてきたSupers(スーパーヒーロー達)が徐々に姿を現します。そんな新たなヒーロー達を紹介します。

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(画像左からスクリーチ、ヘレクトリクス、リフラックス、ブリック、クラッシュハウアー、ヴォイド)


・スクリーチ

フクロウのような見た目をした男。フクロウのように首を360度回転させる事が出来、羽で飛ぶ事も可能。それはあくまで身体的な能力であり、その能力の真髄はScreech(鋭い叫び声)。スクリーチが発する超高音の叫び声は、ガラスを割る事が出来ます。また暗視能力も持っています。


・ヘレクトリクス

指先から電撃を発する青年。日本版声優はサンシャイン池崎


・リフラックス

本名ガス・バーンズ。カエルのような顔をした老人。口から溶岩を吐き出す。年を取っているので疲れやすく、乗り物酔いする。


・ブリック

本名コンクリーシャ・メイソン。メガマッスルと恐れを知らない精神を持つ女性。非常にタフで、Mr.インクレディブルにも負けないほどの怪力を持つ。


・クラッシュハウアー

テレキネシスの使い手で、触れずに物体を押しつぶす男。


・ヴォイド

イラスティガールの大ファンの若い女性。イラスティガールに自己紹介する時にカレンと名乗った。彼女の能力は、空間に穴を空けて物質を自由自在に瞬間移動させるもの。日本版声優は小島瑠璃子


アンダーマイナー

 

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誰よりも下、地中深くに住んでいるモグラのような男。日本版声優は高田延彦。ドリル車を乗りこなし、銀行強盗を成功させる。インクレディブル・ファミリーとフロゾンがアンダーマイナーの悪事を止めようとするが失敗。アンダーマイナーはまんまと銀行の金を奪って地中に帰ってしまいます。この時の失敗でMr.インクレディブルとイラスティガールのヒーロー特別プログラムは撤回されリック・ディッカーの援助も受けられなくなってしまいます。またオリジナル版の声優はジョン・ラッツェンバーガー。彼は全てのピクサー作品に声の出演をしている事で有名です。彼が担当したピクサーキャラは以下の通り。

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・ハム『トイ・ストーリー』(95)、『トイ・ストーリー2』(99)、『トイ・ストーリー3』(10)

・P.T.フリー『バグズ・ライフ』(98)

・イェティ『モンスターズ・インク』(01)、『モンスターズ・ユニバーシティ』(13)

・ムーンフィッシュ『ファインディング・ニモ』(03)

・アンダーマイナー『Mr.インクレディブル』(04)、『インクレディブル・ファミリー』(18)

・マック『カーズ』(06)、『カーズ2』(11)、『カーズ/クロスロード』(17)

・ムスタファ『レミーのおいしいレストラン』(07)

・ジョン『ウォーリー』(08)

・トム『カールじいさんの空飛ぶ家』(09)

・ゴードン『メリダとおそろしの森』(12)

・フリッツ『インサイド・ヘッド』(15)

・アール『アーロと少年』(15)

・ビル(カニ夫)『ファインディング・ドリー』(16)

・ジュアン・オルトドニシャ『リメンバー・ミー』(17)


リック・ディッカー

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かつてスーパーヒーロー達が所属していた政府組織NSA(National Supers Agency)の一員。Mr.インクレディブルの昔馴染みの1人で、人の記憶を消去したり、トラブルの後始末を行う。今作『インクレディブル・ファミリー』はリック・ディッカーがトニー・ライデンジャー(ヴァイオレットが想いを寄せるクラスメイト)を取り調べしているシーンから始まります。トニーは、アンダーマイナーに立ち向かうヴァイオレットがマスクを外した瞬間を偶然見てしまったのです。ヒーロー活動は違法でありヒーロー達は正体を隠さなければいけないため、リック・ディッカーはトニーのヴァイオレットに関する記憶を消去します。リック・ディッカーの風貌はどことなくトミー・リー・ジョーンズに似ています。トミー・リー・ジョーンズは「メン・イン・ブラック」シリーズでMIBのエージェントKを演じています。「メン・イン・ブラック」シリーズではMIBエージェントが宇宙人を見てしまった人間の記憶をニューラライザーという装置を使って消去するシーンがあったり、政府を退職したりとリック・ディッカーはエージェントKとの共通点があります。

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エドナ・モード

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ヒーローのスーツを手掛けるデザイナー。パリコレの常連でもある。本名はEdna Marie Mode。実は日本人とドイツ人のハーフ。アカデミー衣装デザイン賞を8回受賞したイーディス・ヘッドがモデル。オリジナル版では監督のブラッド・バード自身が声を担当。テストで監督が声を当てて声優を探したところ、監督より良い声優が見つからなかったそうです(笑)日本語版では後藤哲夫が担当。


アウター・リミッツ

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作中のテレビ画面に映る番組。『アウター・リミッツ(原題:The Outer Limits)』は実際にアメリカで1963年に放送されていたSFテレビドラマ。モノクローム作品である。エイリアン、UFO、モンスター、超能力者、超常現象を取り上げている1話完結型の作品。アメリカでは『トワイライト・ゾーン』と共に1960年代を代表するSFドラマとして人気が高い。


科学少年J.Q

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『科学少年J.Q(原題:Jonny Quest)』は1964年から1965年までアメリカのABCで放送されていたテレビアニメ。科学者クエスト博士が息子のJQ、助手のレース、ハジ、犬のバンディたちと世界各地を回って研究を続けるSFアニメ。『インクレディブル・ファミリー』では、パー一家が引っ越して来た新しい家のテレビ画面に『科学少年J.Q』が映るシーンがあります。


A113

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(『トイ・ストーリー』に登場するA113)


A113は全てのピクサー作品に登場する有名なイースターエッグです。A113とはアメリカのカリフォルニア芸術大学(カルアーツ)内にある教室の番号であり、この教室は学生が初年度にグラフィック・デザインとキャラクターアニメーションを学ぶ場所です。この学校の卒業者の多くはディズニーやピクサーなどのアニメーションスタジオに就職しています。そんなおなじみの番号はもちろん『インクレディブル・ファミリー』にも登場しています。今回は何度かそれが登場しています。まずは、イラスティガールの初任務で登場するモノレール。モノレールのボディにはMGLV-A113と言う文字が表示されています。そして、船上シーンで映し出されるヒーロー活動合法化の署名シート。このシートにもA113が確認出来ます。そして最後、ヴァイオレットがトニーとの初デートで映画を観に行こうとするシーンです。その劇場の看板にDEMENTIA113と言う文字があります。ここにはもうひとつのイースターエッグが隠されています。DEMENTIA113は実在の映画のタイトルDEMENTIA13とA113を掛け合わせた形になっています。『ディメンシャ13』(63)はフランシス・フォード・コッポラ監督のホラー映画で、劇中の年代設定とも合致しています。


ポルターガイスト

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ジャックジャックの能力のひとつに、『ポルターガイスト』(82)へのオマージュがあります。それは異次元に消えてしまう能力です。異次元に消え、声だけが聞こえる状態でボブがジャックジャックを探すシーンがありますが、まさしくこのシーンが『ポルターガイスト』へのオマージュです。Mr.インクレディブル=ボブ・パーを演じるクレイグ・T・ネルソンは『ポルターガイスト』でクローゼットに吸い込まれてどこか別世界へ消えてしまう娘の父親スティーヴ・フリーリングを演じていました。


ゴーストバスターズ

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本作には『ゴーストバスターズ』(84)へのオマージュも散りばめてあります。スクリーンスレイヴァーが呆気なく捕まり、その正体がピザの配達員だった事に違和感を覚えているヘレンに対しイヴリンが“Einstein was a patent clerk(アインシュタイン特許庁の職員だった)”と言うシーンがありますが、『ゴースト・バスターズ』でもビル・マーレイ演じるピーター・ヴェンクマンが、学友のレイモンド・スタンツを励ます時に同じセリフを喋っています。


トイ・ストーリー4

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インクレディブル・ファミリー』は『トイ・ストーリー4』と公開時期を入れ替えられた事で有名です。『カールじいさんの空飛ぶ家』に『トイ・ストーリー3』のロッツォ・ハグベアがいたり、『モンスターズ・インク』に『ファインディング・ニモ』のニモが登場していたり、ピクサー作品には、必ず次回作のキャラクターが隠されています。今作にも『トイ・ストーリー4』のキャラクターが隠されているらしいのですが、それは『トイ・ストーリー4』を観てみない限りはっきりとは分からないそうです。もしかしたら、『トイ・ストーリー4』の新キャラクターが隠されているのかもしれませんね。一説によると、ジャック・ジャックのベビーベッドの中にある人形がそのキャラクターである可能性が高いようです。『トイ・ストーリー4』が公開されないとその真相は明らかにならないので、『トイ・ストーリー4』を観てからもう一度観直したいですね。


ピザ・プラネットのデリバリー車

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トイ・ストーリー』で登場したピザ・プラネットのデリバリー車。この車はピクサー作品で必ずと言っていいほど登場します。今回は早い段階でその姿を確認する事が出来ます。冒頭のアンダーマイナーとの戦闘シーンで、アンダーマイナーの乗るドリル車のドリルがシティ・ホールにぶつかりそうになってフロゾンが氷を噴出して止めようとするシーンです。その時に映るダッシュの背後にピザ・プラネットのデリバリー車を確認出来ます。

 


中華料理のテイクアウトボックス

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アンダーマイナーとの戦いの後、既にシンドロームによって家を破壊されていたインクレディブル・ファミリーはモーテルに滞在します。彼らはモーテルの中でテイクアウトの中華料理を食べているのですが、そのパッケージはこれまでのピクサー作品にも登場しています。最近この中華料理のテイクアウトボックスが登場したのは『インサイド・ヘッド』です。『インサイド・ヘッド』では、サンフランシスコに引っ越して来たばかりの主人公ライリーが夜ご飯に家族と食べているのが、テイクアウトの中華料理です。この他にも『バグズ・ライフ』、『トイ・ストーリー2』、『モンスターズ・インク』、『レミーのおいしいレストラン』に様々な形で登場しています。この中華料理のテイクアウトボックスもピクサー作品でよく見られるものです。


Tripledent Gum

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インサイド・ヘッド』で登場したキャッチーなテーマソングのトリプルデントガム(Tripledent Gum)。この商品のロゴも、劇中の至る所で発見する事が出来ます。イラスティガールが初任務でモノレールを止めるためにイラスティサイクルで走っているシーン。ここでイラスティガールはモノレールに追いつくために建物に窓から突っ込みますが、その時の壁面にトリプルデントガムの広告が。そしてラストシーンでパー一家とトニーが車に乗っているシーンでも、トリプルデントガムの壁面広告が発見出来ます。


モーツァルト

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前作『Mr.インクレディブル』でベビーシッターのカーリは「モーツァルトは赤ちゃんを賢くする」と言ってジャック・ジャックにモーツァルトを聴かせているとヘレンに電話で言っていました。今作『インクレディブル・ファミリー』では、一晩ジャック・ジャックの面倒を見ていたエドナがジャック・ジャックがモーツァルトの音楽が好きだと気づいていました。エドナがモーツァルトの音楽を流すと、ジャック・ジャックはノリノリで体を揺らします。


MCU


冒頭のインクレディブル・ファミリーVSアンダーマイナーの戦闘シーンで爆破され崩れる建物MUNICIBERG CREDIT UNION(ミュニシバーグ信用組合)の頭文字を取るとMCU(=Marvel Cinematic Universe)になっています。


DCネタ

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インクレディブル・ファミリー』にはDCを思わせる小ネタも隠されています。まずデヴテック社の隣の夜空にバット・シグナルを思わせる光が確認出来ます。そしてイラスティガールの新しいスーツ。新たなイラスティガールのスーツをヘレンは“bit dark and angsty(ちょっと暗くて不安な感じ)”と表現していました。そしてMr.インクレディブル専用の車インクレディビールはバットモービルを思わせます。また、イラスティガールが初任務の際、新家からイラスティサイクルで飛び出して行きますが、そこにもDCを思わせるものが。秘密の通用口から出発するイラスティガールですが、そこは滝が入り口となっています。『バットマン ビギンズ』(05)では、同じようにバットマンは秘密の通用口である滝を通ってアジトに戻るシーンがあります。実は『Mr.インクレディブル』(04)以前にイラスティ=ガール(エラスティガール)と言うキャラクターがDCに既に存在していてディズニー側がDCに許可を貰っています。そんな事もあってDCネタも盛り込まれているのでしょうか。

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(エラスティガールは体の大きさを自由に変化させます。)

 

インクレディビール

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全盛期のMr.インクレディブルはインクレディビールと呼ばれる車に乗って移動していました。前作『Mr.インクレディブル』では、シンドロームとの出会いのシーンで確認出来るだけで、インクレディビールの所在が不明でした。今作ではそんなインクレディビールの所在が明らかになります。インクレディビールは廃車になったとMr.インクレディブルは聞かされていたのですが、ふとテレビをつけてみるとインクレディビールがオークションに出品されていました。この所有者の名前はアレグザンダー・ガルバーキ。イラスティガールの新コスチュームのデザイナーでもあります。しかし現在の所有者はインクレディビールの動かし方を知らない様子。それを見たボブはコントローラーを持ち出してインクレディビールを動かすですが取り返す事を諦めす。その後、イヴリンによって洗脳されたヒーロー達がフロゾンとダッシュとヴァイオレットを襲いに来た時、ダッシュがコントローラーを使ってインクレディビールを取り返します。インクレディビールは音声登録された人間だけの言うことを聞く乗り物で、運転しなくても全ての機能を音声操作出来ます。ロケットエンジンで猛スピードで走るのはもちろん、ロケットを発射したり、水上を走ったり、ジャンプシートがあったり様々な機能を搭載しています。


リプライズ


インクレディブル・ファミリー』には、前作『Mr.インクレディブル』のリプライズがいくつかあります。まずは、一晩ジャック・ジャックを預かったエドナの元をボブが訪れるシーン。ここは、前作でヘレンがエドナの元を訪れたシーンととても似ています。そしてもう一つは、暴走して街にぶつかりそうになっているクルーズ船を止めるシーン。ここで、水中に潜ったMr.インクレディブルを引き上げようとダッシュがヴァイオレットにもう引き上げて良いか聞くシーンがあり、ヴァイオレットは”Not Yet(まだダメ)”と言います。前作では、ロケットエンジンを起動させたオムニドロイドのアームをMr.インクレディブルが抱えているシーンで、イラスティガールがタイミングを見計らってMr.インクレディブルに”Not yet”と言うシーンがあります。

 


ルクソーボールとルクソー・ジュニア

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黄色に1本の水色の線が入った、赤い星が特徴的なルクソーボール。そしてピクサー映画のオープニングとエンディングで必ず目にする電気スタンドのルクソー・ジュニア。ルクソーボールは全てのピクサー作品に登場しているのですが、『インクレディブル・ファミリー』ではそのルクソーボールのみならずルクソー・ジュニアの姿を確認する事が出来ます。ルクソージュニアはスクリーンスレイヴァーとイラスティガールが戦うシーンで発見出来ます。360度を洗脳の光が放たれるシーンでスクリーンスレイヴァーとイラスティガールが戦っている背後に、ルクソー・ジュニアがいます。


ピクサースタジオ


フロゾンがウィンストンの部下から名刺にもちょっとした遊びが。名刺に書いてある住所は1200 PARK AVENUE MUNICIBERG 94808ですが、これは現在のピクサーアニメーションスタジオの住所から来ています。1200 PARK AVENUEの部分がピクサーアニメーションスタジオと同じです。


ディズニーランド・モノレール

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1959年6月14日に、カリフォルニアディズニーランドリゾートに開業したディズニーランド・モノレール。この開業当時のディズニーランド・モノレールのポスターが劇中で発見出来ます。それは、イラスティガールが初任務でホバートレインの暴走を止めるシーン。この時ホバートレインの駅の中で、このポスターを確認する事が出来ます。

 

監督のブラッド・バードは60年代のスパイシリーズやスパイ映画にインスピレーションを受けたと言っているので、まだまだ隠されたものがたくさん存在するかもしれません!前作よりもパワーアップしたアクションシーンにユーモア、もちろん純粋に本編を観るだけで十分に楽しめるのですが、こう言った知識を入れて改めて観るとまた違った楽しみ方が出来ると思います!!どこかに潜んでいる『トイストーリー4』のキャラクターを探しながら、字幕・吹替・IMAXなどで繰り返し観てみるのもいいかもしれませんね。